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「スターベース市」誕生の経緯と投票結果
2025年5月、米テキサス州キャメロン郡のスペースX拠点が、住民投票によって正式に「スターベース市」として独立自治体となることが決まりました。この投票は、主にスペースXの従業員とその家族で構成される約283人の有権者によって行われ、212票が賛成、反対はわずか6票という圧倒的多数で可決されました。
この新都市の面積は約1.5平方マイル(約3.9平方キロメートル)で、以前はほとんど人が住んでいませんでしたが、2012年以降スペースXが土地を取得し、従業員向けの住宅や各種施設が整備されてきました。現在、周辺には約500人が居住していると推定されています。
新市の運営と統治体制
スターベース市の行政は、スペースX幹部が中心となって担います。初代市長にはスペースXの副社長ボビー・ペデン氏が選出され、市政委員も同社の幹部が務めます。市は「タイプC自治体」として、最大1.5%の固定資産税徴収や独自のゾーニング(用途地域指定)、インフラ管理が可能となり、カウンティ(郡)の承認を経ずにロケット打ち上げなどの事業を進めやすくなりました。
スペースXは既に道路や公共サービス、2,000万ドル規模のK-12向け私立学校なども整備しており、事実上「企業城下町」と化しています。
背景と目的――マスク氏の狙い
イーロン・マスク氏は2021年から「スターベース」構想を公に掲げており、今回の自治体化は、スペースXの事業拡大と規制緩和を目的とした側面が強いとみられています。NASAや国防総省との契約下で、月や火星への有人飛行計画を推進するため、自治体としての独自裁量を持つことで、打ち上げや開発のスピードアップを図る狙いがあると推測されます。
地元・社会への影響と懸念
一方で、スペースX主導の都市運営には批判も根強いです。投票権者の大半が同社従業員という特殊な構造から、外部住民や環境団体は「公的な監視や説明責任が弱まる」「環境負荷や住民の多様な声が無視される」と懸念を表明しています[3][6]。実際、スペースXは過去に水質汚染などで120万ドルの罰金を科されたこともあり、ロケット打ち上げ増加による生態系への影響も指摘されています。
また、スターベース市のような「企業都市」の誕生は、19世紀のアメリカに見られた“カンパニータウン”の再来とも言われ、民間企業が税制やインフラ、教育までも掌握する事態に「民主的統治の空洞化」を危惧する声もあります。
今後の展望と社会的意義
スターベース市の設立は、企業が自治体運営に乗り出すというアメリカでも極めて異例の事例です。スペースXは今後、約3,400人の従業員・契約業者の生活基盤を支えつつ、独自の都市運営モデルを展開する見通しです。
この動きは、企業活動と公共性のバランス、環境保護、住民自治のあり方など、多くの社会的論点を投げかけています。今後、スターベース市の運営がどのような成果と課題を生むのか、全米・全世界から注目が集まっています。
まとめ
スペースXによるスターベース市の誕生は、企業主導型都市の新たな実験として世界的な注目を集めています。自治体化による事業推進の加速と、民主的統治や環境への影響という課題が交錯する中、今後の展開が注視されます。
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