伊東市・田久保眞紀市長、学歴詐称疑惑で会見 「経歴に問題ない」と強調しつつも、大学除籍を認める―公職選挙法違反には当たらないとの見解

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2024年7月2日、静岡県伊東市の田久保眞紀市長は、自身に浮上した「学歴詐称」疑惑について記者会見を開き、改めて市民や関係者に対し説明を行いました。この会見は市政に対する信頼を大きく揺るがしかねない問題として、地元のみならず全国的にも注目を集めています。

市長選での「下克上」と“ジャンヌ・ダルク”の異名

田久保市長は、今年5月25日に行われた伊東市長選挙で初当選し、旧態依然とした市政に風穴を開けた存在として「伊東のジャンヌ・ダルク」とも称されてきました。田久保市長は自らの経歴を「東洋大学法学部卒業」と公表し、市が発行する広報誌など公式の場にも「平成4年 東洋大学法学部卒業」と明記されていました。

そのため、市民や支援者の多くは彼女の最終学歴が東洋大学卒業であると信じていました。特に女性の社会進出や多様性が重要視される中、田久保市長の当選は“下克上”の象徴とも受け止められ、期待が高まっていました。

差出人不明の「怪文書」が火種に

ところが、市長選から間もない6月初旬、伊東市議会の全議員宛てに、「東洋大学卒ってなんだ!彼女は中退どころか、私は除籍だったと記憶している」といった内容の、差出人不明の文書が突然届きました。これが学歴詐称疑惑の発端となり、市議会内部や一部市民の間で大きな波紋を呼びました。

当初、田久保市長はこの文書を「証拠にも基づかない怪文書」と切り捨て、まともに取り合わない姿勢を示しました。しかし、疑惑が収まる気配はなく、市議会の一部議員が問題視し始めます。

市議会が百条委員会設置を決定

こうした状況を受け、伊東市議会は6月25日の本会議でこの問題を正式に取り上げ、真相究明のため、地方自治法第100条に基づく調査委員会(いわゆる百条委員会)の設置を決めました。

百条委員会は、地方自治体の議会が重大な問題について調査権を持ち、必要に応じて証人喚問や資料提出を求めることができる強い権限を有します。今回のケースでは、田久保市長の最終学歴が本当に「卒業」なのか、それとも「中退」あるいは「除籍」なのかが最大の焦点となっています。

市長「証拠は弁護士に一任」で説明を避けるも、会見へ方針転換

議会側からの追及が強まる中、田久保市長は当初「この件については代理人弁護士に一任しており、私からの発言は控える」として個人的な説明を避ける姿勢を貫いていました。

しかし、疑惑が拡大し、一部報道では「市政の信頼が揺らぐ」「市長の説明責任が問われる」など批判の声が強まりました。市民からも市役所や議員に対し「真実を知りたい」「市長自ら説明すべきだ」といった問い合わせが相次ぎました。

こうした中、田久保市長は一転、方針を転換。7月2日に記者会見を開き、「説明できることは説明していく」と表明しました。

東洋大学に確認、「除籍」だったことを認める

記者会見で田久保市長は、自身が通っていた東洋大学に公式に確認した結果、「除籍」であることが判明したと明らかにしました。除籍とは、大学側の規定により、在学中に所定の単位を修得できなかった場合や、学費未納などを理由に在籍資格を失い、学生としての身分を失うことを指します。単なる「中退」よりも厳しい処分であり、卒業資格がないことは明白です。

これにより、長年公式に「卒業」とされてきた田久保市長の経歴に重大な齟齬があったことが事実上、認められた形となります。

「公開してきた経歴に問題はない」と主張 公選法違反は否定

一方で田久保市長は、「私が自ら公開してきた経歴に関しては問題ないとこれまで説明してきたが、その点は現時点においても変わりはない」と強調しました。つまり、「卒業」と明記された経歴に虚偽はない、あるいは意図的な詐称はしていない、という立場を維持しています。

また、公職選挙法(公選法)に抵触するかどうかについても、「法的には問題ない」との見解を示しました。公選法では、経歴詐称が選挙運動の一環として有権者を誤認させた場合、当選無効や刑事罰の対象となる可能性がありますが、田久保市長は「違法性はない」と主張しています。

市政と市民に与える影響は甚大

しかし、こうした説明には市民や議会から厳しい視線が注がれています。特に、地元紙やTVなどの報道では「市長選の際、有権者は“東洋大学卒業”という経歴に一定の信頼を寄せて投票したのではないか」、「女性リーダーのロールモデルとしての信頼性が揺らぐ」といった指摘が相次いでいます。

また、SNSやネット上でも「なぜ除籍なのに卒業と広報したのか」「説明責任を果たしていない」など、疑念や批判の声が多く見受けられます。市政運営への信頼回復は容易ではないことが予想されます。

今後の展開と市長の進退

現時点で田久保市長は「経歴に問題はない」と繰り返し強調し、辞任など進退には言及していません。しかし、百条委員会の調査が進めば、新たな事実や証言が明らかになる可能性があります。特に、市の広報誌や選挙公報など公式文書に「卒業」と記載された経緯や、その責任の所在が問われることになるでしょう。

また、今後の調査結果によっては、市民の批判がさらに強まり、辞職やリコール運動に発展する可能性も否定できません。一方で、田久保市長が真摯に経緯を説明し、信頼回復に努めることで、一定の支持を維持できるかどうかも注目されます。

まとめ

今回の田久保市長をめぐる学歴詐称疑惑は、地方自治体のトップとしての説明責任や、市民との信頼関係をどう築くかという根本的な課題を突きつけています。百条委員会の調査や今後の市長の説明、対応次第で、市政の行方だけでなく、地方政治全体の透明性や信頼性にも影響を与えることは間違いありません。

市民としては、田久保市長が今後どのような説明や対応を行い、市政への信頼回復に努めるのか、冷静に見守っていく必要があるでしょう。

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