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ロサンゼルス・ドジャースが2025年オフに獲得したクローザーのタナー・スコット投手。4年総額7200万ドル(約112億円)という巨額契約で迎え入れた左腕は、期待とは裏腹に球団史上最悪レベルの契約となりつつある。投資に見合わない成績に加え、チームメイトへの迷惑行為、そしてファンからの激しい批判に晒される現状は、まさに「悪魔の契約」と呼ぶにふさわしい状況だ。
期待された救世主の転落

2024年シーズン、スコットはマイアミ・マーリンズで防御率1.18という驚異的な成績を記録していた。18セーブを挙げ、WHIP0.95という完璧に近い制球力で、全球団が注目する存在だった。シーズン途中にサンディエゴ・パドレスにトレードされた後も防御率2.75と安定した投球を見せ、「市場最高のクローザー」として評価を受けていた。
しかし、ドジャース移籍後の現実は厳しいものとなった。2025年シーズンの52試合登板で防御率4.56、セーブ失敗数は9回とメジャーリーグ最多を記録している。Yahoo Newsによると、「悪化していくばかりだ」との批判的な論調が現地メディアでも目立っている。
山本由伸の勝利を3度帳消し

特に深刻なのは、チームメイトである山本由伸投手の勝利を帳消しにしている点だ。スコットは今シーズン、山本の好投を3度も無駄にしており、チーム内の信頼関係にも影響を与えている。
最も印象的だったのは9月1日のダイヤモンドバックス戦だ。山本が7回を4安打1失点、自己最多タイ10奪三振の快投を見せ、12勝目の権利を持って降板したが、8回から登板したスコットが2死から連打を浴び、コービン・キャロルに同点3ランを献上。この瞬間に山本の白星が消滅した。日刊スポーツは「マウンドを降りる際にブーイング」が起こったと報道している。
さらに心を痛めるのは、スコット自身が山本への申し訳なさを感じており、毎日謝罪のハグをしていることが明かされている。「あと5勝は増えていた」との声もあり、スコットの失敗がチーム全体の成績にも影響を与えている現状が浮き彫りになっている。

制球難と予想される配球パターン
現在のスコットの問題は制球難にある。四球から自滅するパターンが頻発し、甘く入った球を痛打される悪循環に陥っている。9月5日と6日には2日連続でサヨナラ打を許すという屈辱的な結果となった。
さらに深刻なのは、配球パターンが読まれている可能性だ。Spread Sportsは「癖を見破られているかも」と指摘し、「キャリアを通じては2018年と21年に許していたホームランを、今季は既に9本も被弾している」と分析している。過去3年間で11被弾だったのに対し、今年だけで9本という異常な数値は、明らかに何かが変わったことを示している。
カブスメディアの痛烈な皮肉

この状況に対し、シカゴ・カブスの専門メディア『Cubbies Crib』は痛烈な皮肉を込めた記事を掲載した。The Digestによると、「カブスがスコットと契約できなかったのは、逆に幸運だった」「スコットがドジャース史に残る『大崩壊』の仕上げ役となった」と評している。
実際、カブスは昨オフにスコットに総額8000万ドル(約118億円)のオファーを送っていたが、スコットはより低い金額を提示したドジャースを選択した。結果的にカブスは球団史上最高額での契約を回避でき、格安リリーバー陣が好成績を残している。25歳のダニエル・パレンシア(年俸76万ドル)、38歳のケイレブ・シールバー(年俸275万ドル、防御率2.15)、36歳のドリュー・ポメランツ(年俸150万ドル、防御率2.45)といった選手たちが、スコットの100分の1以下のコストで優秀な成績を収めている。
ファンの怒りと「月への追放」論

ドジャースファンからの批判は日増しに激しくなっている。東京スポーツは「ドジャースファンがスコット追放を懇願『月に送ってください』」と報道し、SNS上では「Scott to the moon(スコットを月へ)」というハッシュタグまで登場している状況を伝えている。
高額契約を結んだ選手への期待値の高さと現実のギャップが、ファンの失望を一層深くしている。毎年1800万ドル(約28億円)の年俸を受け取りながら、メジャーリーグ最多のセーブ失敗を記録している現状は、確かにファンにとって許し難いものだろう。
後払い契約による長期縛り
問題をさらに複雑にしているのが、契約構造だ。Baseball Channelによると、7200万ドルのうち2100万ドル(約32.7億円)が後払いとなっており、ドジャースは今後長期にわたってスコットの契約に縛られることになる。
あと3年間の契約期間を残す中で、スコットの成績向上が見込めなければ、この契約は球団史上最悪の契約として語り継がれることになりかねない。現在の防御率4.56、セーブ失敗率は、同等の年俸を受け取る他のクローザーと比較しても明らかに見劣りする数値だ。
数字で見るスコットの劣化
表:タナー・スコット年度別詳細成績
年度 | チーム | 登板数 | 防御率 | セーブ数 | セーブ失敗 | WHIP | 奪三振 | 被本塁打 | 年俸(推定) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2024前半 | マーリンズ | 44 | 1.18 | 18 | 2 | 0.95 | 53 | 4 | 400万ドル |
2024後半 | パドレス | 28 | 2.75 | 4 | 1 | 1.25 | 31 | 3 | 400万ドル |
2025 | ドジャース | 52 | 4.56 | 21 | 9 | 1.48 | 42 | 9 | 1800万ドル |
この表からも明らかなように、年俸が45倍になった一方で、パフォーマンスは著しく悪化している。特に被本塁打数は過去3年間の合計を上回る勢いで、制球力の指標であるWHIPも大幅に悪化している。
クローザー剥奪議論の現実味

現在、スコットのクローザー剥奪を求める声が高まっているが、Sporting Newsは「精彩欠く投球続くも、ドジャース・スコットのクローザー『剥奪』は困難」と分析している。
その理由として、高額契約による投資の大きさ、過去の実績への期待、そして投手陣の怪我による選手層の薄さが挙げられている。しかし、現状が続けば、デイブ・ロバーツ監督も難しい決断を迫られることになるだろう。
他球団の成功事例との対比
スコットの失敗をより際立たせているのが、他球団の成功事例だ。前述のカブスに加え、多くの球団が格安で優秀なクローザーを確保している現状がある。
例えば、ボルティモア・オリオールズのフェリックス・バウティスタは年俸74万ドルで防御率1.48、33セーブを記録。ニューヨーク・ヤンキースのクレイ・ホームズは年俸610万ドルで防御率2.89を維持している。これらの選手と比較すると、スコットのコストパフォーマンスの悪さは一目瞭然だ。
残り3年の重荷
最も深刻な問題は、まだ契約期間が3年も残っていることだ。現在31歳のスコットが34歳になるまでドジャースに在籍することが確定しており、年齢による衰えも懸念材料となっている。
救援投手としてのピークは一般的に20代後半から30代前半とされており、スコットがこの年齢で大幅な能力低下を見せていることは、今後の改善可能性に疑問を抱かせる。物理的な能力の衰えに加え、精神的なプレッシャーも相まって、負のスパイラルに陥っている可能性が高い。
ドジャース編成の課題露呈

スコットの失敗は、ドジャースのフロントオフィスの判断ミスも露呈させている。2024年の好成績に基づいて巨額契約を結んだが、十分なデューデリジェンスが行われていたかが疑問視されている。
特に、制球面での不安定さは2024年シーズン後半からすでに兆候があったとの指摘もある。パドレス移籍後にWHIPが悪化していたことを考えると、より慎重な評価が必要だったのかもしれない。
ファンとの関係修復の困難さ
現在のスコットは、ホームゲームでの登板時にブーイングを受ける状況が続いている。これは投手にとって最も避けたい状況の一つで、さらなる成績悪化を招く可能性がある。
ファンの信頼を回復するには、連続セーブ成功や重要な場面での好投が必要だが、現状の制球難では逆にリスクが高まる一方だ。この悪循環を断ち切ることができるかが、今後の最重要課題となっている。
結論:史上最悪契約への道筋
4年総額7200万ドルという契約は、現在の成績を考えると確実に「悪魔の契約」と呼べる状況にある。年俸に見合わない成績、チームメイトへの迷惑、ファンからの批判、そして残り3年という長期契約が組み合わさり、ドジャースにとって重い足枷となっている。
スコット自身も「本当に悔しい」「イライラする」といった言葉を口にしており、精神的な重圧を抱えていることは明らかだ。しかし、プロスポーツの世界では結果がすべてであり、今後劇的な改善がなければ、この契約は間違いなく球団史上最悪の契約として記憶されることになるだろう。
カブスメディアが「逆に幸運だった」と評したように、高額FA契約のリスクを改めて浮き彫りにした事例として、今後も語り継がれることになりそうだ。残り3年で汚名返上できるか、それとも「悪魔の契約」として歴史に名を刻むか。タナー・スコットの今後の投球に、すべてがかかっている。
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