【警鐘】危険ドラッグ“ゾンビたばこ”が日本にも――極微量でも「取り返しのつかないこと」に

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小刻みに震え、ふらつき、倒れ込む――。ホラー映画のゾンビのような挙動を引き起こす電子たばこ。その正体はエトミデートという医療用麻酔成分を混入した危険ドラッグでした。いま中国の警告映像が拡散する一方で、日本国内でも所持・使用で逮捕が相次いでいます。この記事では、現状とリスク、そして守るべき対策を、感情をこめて、しかし冷静に伝えます。

“ゾンビたばこ”とは何か――正体は麻酔導入薬エトミデート

「ゾンビたばこ」は通称で、海外で麻酔導入薬・鎮静剤として用いられてきたエトミデート(Etomidate)を電子たばこのリキッドに混ぜ、蒸気として吸入する行為を指します。吸引によって中枢神経が急速に抑制され、手足のけいれん、運動失調、意識低下、記憶障害などが発現。使用者が制御不能となりフラフラ歩く様子から“ゾンビ”の俗称が広がりました。

なぜ危険か:極微量で「意識を落とす」薬理

エトミデートは医療現場でも用量管理が極めてシビアな薬です。麻酔導入に用いるほど作用が強く、極微量でも予測不能な鎮静・呼吸抑制を招き得ます。自己判断での使用は、転倒・頭部外傷・溺水・交通事故など二次被害の危険を飛躍的に高めます。さらに、他の薬物やアルコールと併用されれば致命的な合併症のリスクは跳ね上がります。

日本の規制:2025年5月に指定薬物として明確に禁止

日本では2025年5月にエトミデートが指定薬物に位置づけられ、医療等の用途以外での製造・輸入・販売・所持・使用が禁止されました。省令施行は2025年5月26日。これにより、エトミデートを含むリキッドや製品を持っているだけで処罰対象となります。規制は「見せしめ」ではなく、被害の拡大を食い止めるための実効的な歯止めです。

国内の実態:沖縄を中心に逮捕・搬送事例が報告

規制施行後も、沖縄県内での摘発や救急搬送が報じられています。7月上旬には浦添市の公園で20代男性2人が、けいれん状態で発見され所持容疑で逮捕。翌日以降も未成年を含む摘発が続き、地域社会に衝撃が走りました。報道では、「笑気麻酔」「合法」などと偽装して販売・拡散される実態も指摘されています。

なぜ沖縄から?水際をすり抜ける“グレー市場”

海外経由のリキッドや原料が越境EC・転送サービスなどを介して流入し、SNSや匿名掲示板、コミュニティアプリを通じてクローズドに流通しているとみられます。パッケージはおしゃれで、フレーバー名も無害に見える――しかし中身は違法。この「見た目の無垢さ」が、若年層の心理的ハードルを下げる最大の罠です。

症状チェック:周囲にこう見えたら“ただちに119番”

  • 突然のふらつき、壁伝いに歩く、座り込む
  • 手足の小刻みな震え・けいれん(本人は自覚が薄い)
  • 反応遅延・ろれつ不明瞭、呼びかけに対する応答低下
  • 口元にペン型や小型タンク型のデバイス(電子たばこ)
  • 直前のフレーバーリキッド吸引の言及や匂い

これらが複数当てはまり、本人や周囲が「合法」「医療用だから安全」などと話していても、自己判断で様子見は禁物意識レベル・呼吸状態は刻々と悪化します。救急要請とデバイスの確保(医療者への情報提供)が、命を救う最短ルートです。


家庭と学校・職場でできる“実践的ガード”

1. デバイスの「中身」まで確認する

見た目が一般的な電子たばこと同一でも、中身のリキッドが違法成分にすり替えられているケースが少なくありません。譲渡・購入経路が不明なリキッドは絶対に使用しない・させない

2. 「合法フレーバー」の言葉に惑わされない

販売側は「ハーブ」「芳香剤」「笑気」など聞こえの良いワードで油断を誘います。成分表示が不十分、第三者検査がない、レビューが不自然な商品は即スルーを。

3. 兆候を見たら、責めずに“安全を最優先”

問い詰めは口をつぐませ、救命のタイミングを逃します。呼吸・意識・けいれんを観察しつつ、落ち着いた声かけと119番、そしてデバイスとリキッドの確保(医療者への引き継ぎ)を。

4. 情報は“最新の一次情報”へ

SNSの断片情報は誤情報が混在します。厚労省や自治体、信頼できる報道の一次ソースで必ず裏どりしましょう。規制や通達は日付を伴って更新されます。

よくある誤解 Q&A

Q1. 「医療でも使う薬なら、少しだけなら安全?」

誤り。医療ではモニター監視と気道確保を前提に、厳密な用量管理で使用します。市販リキッドに混ぜられた濃度は不明で、極微量でも致命的になり得ます。

Q2. 「海外サイトで合法とあった」

日本国内では指定薬物に該当し、所持・使用も違法です。たとえ海外で合法でも、日本に持ち込んだ時点で処罰対象。越境ECの盲点に注意。

Q3. 「検査に引っかからないって聞いた」

検査回避を謳う文言は販売上の虚偽が多く、仮に一般的簡易検査で検出が難しくても、法的責任と健康被害は回避できません。

もし、あなたや大切な人が巻き込まれたら

  1. 意識・呼吸を優先評価(反応・呼吸の有無を確認)
  2. 速やかに119番。場所・状態・使用の可能性を伝える
  3. デバイス/リキッド/包装を安全に回収し、救急隊・医療者へ
  4. 単独行動を避け、転倒・誤嚥を防ぐ体位保持を

これは「意志の弱さ」の問題ではありません。巧妙な偽装と拡散の仕組みが、誰にでも落とし穴を仕掛けています。恥ずかしさよりも、いのちを。

編集後記:恐怖より、現実的な備えを

スクリーンの向こうの出来事ではありません。日本の街角で、あなたの身近で、すでに起きています。恐怖をあおることが目的ではなく、確かな知識行動の手順を共有すること。それが被害の連鎖を断ち切る、最初の一歩です。

※本記事は公的機関発表・一次報道に基づき、2025年8月15日時点の情報をもとに作成しました。最新の通達・各自治体の注意喚起も必ずご確認ください。

【参考・出典(主要ソース)】厚生労働省によるエトミデートの指定薬物指定と施行日の発表。
FNNプライムオンラインの“ゾンビたばこ”警鐘記事(2025年8月15日)。
沖縄での摘発・逮捕に関する地元報道(沖縄タイムス等)およびRBC/TBS系報道。
海外・国内での呼称や実態の補足(英字メディア・動画など)。

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