「本ページはプロモーションが含まれます
中山和行県議の「人殺しの訓練」発言問題:経緯・背景・影響の全容
事件の概要と発言内容
2025年3月19日、滋賀県議会本会議において、日本共産党所属の中山和行県議(長浜市選出)が陸上自衛隊饗庭野(あいばの)演習場での実弾射撃訓練について「人殺しの訓練」「人殺しのための訓練」と発言し、大きな波紋を広げた。この発言は、陸自と米陸軍が行う共同訓練に関する請願討論の中でなされたもので、議事録に明確に記録されている。
発言直後、議場には一瞬の静寂が流れたとされ、与党議員を中心に批判の声が上がった。議長からも不適切発言として注意が促されたが、中山議員はその場で撤回や謝罪を行わなかった。
自衛隊家族会の抗議と議会の対応
中山議員の発言から約1ヶ月後の2025年4月15日、滋賀県自衛隊家族会は有村國俊議長宛てに抗議の申し入れ書を提出。申し入れ書では「自衛隊員に対する侮辱に他ならず、自衛隊員という職業に対する差別にもつながりかねないものであり、強く憤りを覚える」とし、「県議会で厳正に対処を」と要求した。

家族会の代表は「自衛隊員は災害救助や国民の安全を守るために日々訓練を重ねている。それを『人殺し』と表現されることは、家族として耐えられない」と心情を吐露している。
これを受けて、2025年4月18日の滋賀県議会議会運営委員会で、中山議員が所属する日本共産党県議団の節木三千代代表が「不適切な発言だった。おわびしたい」と謝罪した。有村議長は節木代表に口頭で厳重注意を行い、議事録については発言をそのまま残しつつ、不適切発言があったことを明記することを決定した。
中山和行議員の経歴と政治的立場
中山和行議員は2023年の滋賀県議会議員選挙で初当選した新人議員で、当選時68歳(2023年時点)。当選前は38年間にわたり滋賀県内の中学校と養護学校で理科教師として勤務し、教職員組合の活動にも熱心に取り組んでいた。
教師時代から「教え子を再び戦場に送らない」というスローガンのもと平和教育に力を入れ、この信念が現在の政治活動の根底にもあるとされる。2023年の選挙では前任の共産党候補が健康上の理由で出馬を断念したため、選挙告示わずか3週間前に急遽立候補を決意し、「岸田政権の大軍拡・大増税NO!」を掲げて当選を果たした。
議員としての活動では、教育問題や福祉政策に力を入れ、特に「教職員の働き方改革と教育現場の支援」「医療・介護・子育てといった社会保障の拡充」などを重点政策として掲げている。
発言の背景にある饗庭野演習場の問題
中山議員が批判の対象とした饗庭野演習場は、滋賀県高島市に位置する陸上自衛隊の重要な訓練施設で、近畿・中国地方では唯一大型砲弾の射撃訓練が可能な演習場である。しかしこの演習場では過去にも度々事故が発生しており、特に2015年、2018年、2021年には砲弾が演習場外に着弾する事故が起きている。
最も最近では2025年2月3日、155ミリ榴弾砲の訓練中に火薬の量を誤り(想定の2倍を使用)、砲弾1発が演習場外に着弾する可能性がある事態が発生。陸上自衛隊は数百人態勢で捜索を行ったが、着弾場所は確認できていない。この事故を受け、三日月大造滋賀県知事は「発生したことは極めて重大かつ遺憾」とコメントしている。
高島市の福井正明市長も「饗庭野演習場では場外への着弾事故がこれまでにも起きていて、『安全管理の徹底を図る』と約束いただいているにもかかわらず、今回の事案が発生したことは極めて遺憾だ」と強い不快感を示している。
謝罪の内容とその評価
共産党県議団の節木代表による謝罪では「自衛隊員とその家族の方々の心情を傷つける表現であったことを深く反省している」と述べられたが、同時に「表現は不適切だったが、演習場周辺住民の不安や懸念を伝えたいという思いがあった」とも説明されている。
この謝罪について、有村議長は「(同党県議団の)2人がどうされるか分からないが、当事者間の話が大事だと思う」と述べ、共産党県議団と自衛隊家族会との直接対話を促した。
しかし、中山議員本人からの直接の謝罪がなかったことや、謝罪が議会運営委員会という限られた場で行われたこと、「表現は不適切だったが」という但し書きがついていたことから、謝罪の誠意を疑問視する声も上がっている。
政治的・社会的な反響と今後の影響
この問題は単なる地方議会の一発言を超え、全国的な注目を集めた。Yahoo!ニュースの記事には8939件ものコメントが寄せられ、SNS上でも賛否両論の活発な議論が展開された。
自衛隊関係者からは「災害救助や国民の安全を守るための訓練を『人殺し』と表現されることは耐え難い」という強い反発が起こった一方で、中山議員を支持する層からは「表現は過激だったかもしれないが、軍事訓練の本質を問う重要な発言だ」という意見も見られた。
今後の影響として、以下の点が懸念される:
- 自衛隊と地方自治体・住民との関係悪化
- 共産党の支持基盤内での意見の分岐
- 地方議会における安全保障関連議論の萎縮効果
- 今後の選挙における中山議員の支持動向
類似の政治発言問題との比較
過去の政治発言問題と比較すると、2013年に麻生太郎副総理が「ナチスの手口に学んだらどうか」と発言し謝罪に至った事例や、2018年に福田淳一事務次官がセクハラ発言で辞任した事例などがある。これらのケースと比較して、中山議員の問題は以下の点で特徴的である:
- 謝罪の主体:発言者本人ではなく会派代表が謝罪
- 謝罪の場:発言と同じ本会議ではなく、議会運営委員会
- 問題の性質:特定職業集団(自衛隊員)に対する侮辱的表現
日本の政治文化では、謝罪の儀式と形式が重視される傾向があり、今回の謝罪が「形式的」と受け止められたことも批判の一因となっている。クーポン使用可能!かさばる・重たいなど、お店で買いづらいものをオンラインストアでお得に。【マツキヨココカラオンラインストア】
まとめ:問題の本質と今後の課題
中山議員の「人殺しの訓練」発言問題は、単なる言葉の選択ミスを超えた多層的な課題を浮き彫りにした。問題の本質は以下の点に集約できる:
- 表現の適切性:政治的意見表明と特定職業への侮辱の境界線
- 謝罪のあり方:政治家の責任の取り方と誠意の示し方
- 安全保障議論の質:軍事訓練の是非をめぐる建設的な議論の方法
- 地方議会の役割:国政レベルの問題を地方議会で扱う際のバランス
今後の課題として、自衛隊と地域社会との相互理解の深化、議会における適切な表現方法の確立、安全保障をめぐる多様な意見を尊重する議論文化の醸成などが挙げられる。
この問題は、政治発言の責任、自衛隊の社会的地位、地方議会の役割など、現代日本が直面する重要なテーマを包括的に含んでおり、今後の展開が注目される。
コメント