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外国人グループによる組織的な万引き事件が社会問題となる中、ファーストリテイリング(ユニクロ)が「断固たる姿勢」で臨む方針を打ち出しました。この動きは小売業界全体に大きな影響を与える可能性があります。

ファーストリテイリングの新方針
2025年6月9日、ファーストリテイリングは万引きなどの窃盗行為に対する対応を大幅に強化すると発表しました。従来の刑事司法手続きに加え、民事手続きでも全ての損害の賠償を請求するという画期的な方針を明らかにしています。FASHIONSNAP
この方針の背景には、深刻化する組織的窃盗事件があります。同社の広報担当者は「状況はずいぶん改善された」としながらも、「撲滅に向けたさらなるステップ」として民事手続きの強化に踏み切ったと説明しています。
ベトナム人窃盗団の深刻な被害実態
特に深刻なのがベトナム人グループによる組織的犯行です。近年の摘発事例を見ると:
- 大阪事件(2024年): ベトナム国籍の女性3人が4都府県37店舗で総額約1,230万円相当の商品を窃盗
- 福岡事件(2024年): 男女4人が8都府県で総額約2,000万円の被害を確認
- 1回の渡航で17万~21万円の報酬を得ていたケースも判明

警察庁の統計によると、万引きで摘発された外国人のうち5~7割をベトナム人が占める状況が続いています。産経新聞

賠償請求の業界実態:わずか10.9%
全国万引犯罪防止機構の2024年調査によると、小売業界の現状は深刻です:
- 万引きの年間被害額は推定約3,460億円
- 賠償請求を実施している企業はわずか10.9%(29社/265社)
- 「していない」企業が82.3%(218社)
同機構の土門敬佳事務局長は「膨大な被害にも関わらず、万引被害に対する社会的な問題意識はまだまだ低い」と指摘しています。全国万引犯罪防止機構調査
先進事例:三洋堂ホールディングスの取り組み
一方で、20年前から賠償請求を実施している先進事例もあります。東海地方の書店チェーン「三洋堂ホールディングス」では:
- 2024年度の賠償請求:87件、約621万円
- 回収実績:75件、約574万円
- 人件費も分単位で請求(年間82万円余り)
- 不明ロス率:書籍で0.5%台まで改善
同社は「確保した万引犯を警察に連れて行っても、従業員は数時間拘束される。そのコストも分単位で万引犯に請求している」と徹底した取り組みを行っています。
ユニクロが狙われる理由
専門家によると、ユニクロが狙われる背景には複数の要因があります:
- 海外での高いブランド価値
- ベトナムでの正規店舗はわずか19店舗(2019年進出)
- 日本語タグが付いた製品の希少価値
- ローカルブランドの数倍の価格で取引
- セルフレジシステムの脆弱性
- RFID電子タグの誤作動可能性
- 「お客様第一主義」による対応の甘さ
- 防犯アラーム鳴動時のチェック不足
ファッションビジネス・コンサルタントの磯部孝氏は「セルフレジの導入について慎重になる必要がある」と指摘しています。ビジネスジャーナル
業界への波及効果と今後の展望
ファーストリテイリングの方針転換は業界に大きな影響を与えると予想されます。全国万引犯罪防止機構は「賠償請求する企業は増えていく」との見方を示しており、同機構も「賠償請求の相談やサポートをしていきたい」としています。
一方で、課題も多く残されています:
- 賠償請求手続きの複雑さ
- 人件費算出基準の曖昧さ
- 対応コストと被害額のバランス
- 「おもてなし」文化との両立
まとめ
ファーストリテイリングの「断固たる姿勢」は、小売業界における万引き対策の転換点となる可能性があります。年間3,000億円超の被害に対し、これまで消極的だった民事賠償請求が広がることで、抑止効果の向上が期待されます。
しかし、真の解決には業界全体での連携、法制度の整備、そして国際的な協力体制の構築が不可欠です。日本の「お客様第一主義」を維持しながら、効果的な防犯対策を実現する新たなモデルの確立が求められています。
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