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2025年4月、ロサンゼルス・ドジャースのエース級投手タイラー・グラスノーが試合中に肩の不快感を訴え早期降板するという事態が発生した。このニュースは、昨季ワールドシリーズ制覇を果たしたドジャースにとって大きな懸念材料となっている。グラスノーは2024年シーズンも肘の炎症により8月以降登板できず、ポストシーズンを全休した経緯があり、その”ガラスの耐久性”が再び表面化した形だ。
ドジャースの投手陣は2024年から続く故障の連鎖に苦しんでおり、この最新の負傷報告はチームの先行きに暗雲を投げかけている。グラスノーが長期離脱すれば、ドジャースが構想した「史上最高のローテーション」は早くも崩壊の危機に直面する。本稿では、グラスノーの最新負傷がドジャースの2025年シーズンに与える影響を多角的に分析し、チームの対応策と今後の見通しを探る。
グラスノーの負傷履歴と2024年シーズンの経緯
慢性的な故障に悩まされてきたキャリア
タイラー・グラスノーは並外れた才能を持ちながらも、そのキャリアを通じて故障に悩まされてきた投手だ。2019年には右肘を負傷し長期離脱、2021年にはUCL断裂と屈筋腱の損傷でトミー・ジョン手術を受けた。2023年は腹斜筋の張りで開幕2ヶ月を棒に振るなど、”耐久性”が常に疑問視されてきた。

ドジャースが2023年12月にレイズからグラスノーを獲得した際、チームはこうしたリスクを承知の上で5年1億3650万ドルの大型契約を結んだ。当時のドジャース投手コーチ、マーク・プライアーは「彼の能力は疑いようがないが、健康が最大の課題だ」と認めていた。
2024年シーズンの活躍と早期終了
2024年、ドジャース移籍初年度のグラスノーは自己最多の22試合に先発し、134イニングを投げて防御率3.49、9勝6敗、168奪三振、WHIP0.95という好成績を残し、初のオールスター選出を果たした。しかし8月11日のピッツバーグ・パイレーツ戦を最後に右肘の腱炎で離脱し、そのままシーズン終了となった。

グラスノーは当時、「医師の意見を受けて休養したが、状態はむしろ悪化した。ポストシーズンに出場できないのは最悪だ」と落胆の表情を見せていた。ドジャースはグラスノー不在の中、投手陣の故障が相次ぐ苦境にもかかわらず、なんとかワールドシリーズ優勝を達成した。
2025年春季キャンプでの調整と新たな負傷
投球フォームの改良と期待
2025年春季キャンプでグラスノーは、バイオメカニクスの専門家と協力して投球フォームに微調整を加えた。特に「脊柱の角度」を修正し、投球時に「開きすぎる」傾向を抑えることで肘への負担軽減を図った。この調整は成功したように見え、グラスノー自身「以前よりリカバリーが良くなった」と語り、デーブ・ロバーツ監督も「今春は自然な運動能力を発揮できている」と評価していた。
春季キャンプでは3試合に登板し、日本でのエキシビションゲームを含む調整を経て、開幕ローテーション入りを果たしていた。ドジャースは山本由伸、ブレイク・スネル、佐々木朗希に続く4番手としてグラスノーを起用し、「史上最高のローテーション」構想を掲げていた。
シーズン開幕後の不調と肩の不快感
しかし、2025年シーズン開幕後、グラスノーは安定した投球ができていない。4月6日のフィリーズ戦では2回5失点、4月20日のレンジャーズ戦では4回無失点と波があったが、このレンジャーズ戦で肩の不快感を訴え早期降板。その後、故障者リスト入りの可能性が報じられるなど、深刻な状況が懸念されている。
この時期のグラスノーの成績は5試合の登板で防御率4.50、18イニングで9失点、23奪三振という内容で、奪三振率は高いものの、安定性に欠けていた。まさに「ガラスのエース」のレッテルが再び浮上する事態となった。
グラスノー不在がドジャースに与える影響
ローテーションの深刻な人員不足
グラスノーが長期離脱すれば、ドジャースの先発投手陣は再び深刻な人員不足に直面する。2025年シーズンのドジャースは、山本由伸、ブレイク・スネル、佐々木朗希という3人のエース級投手を擁しているが、スネルも現在離脱中で、代役としてブルペンゲームを余儀なくされている。さらに、クレイトン・カーショウとトニー・ゴンソリンも復帰途上にあり、即戦力として期待できる状態ではない。
この状況でグラスノーまで失えば、ドジャースはボビー・ミラーやジャスティン・ウロブレスキーといった若手投手に頼らざるを得なくなる。2024年シーズン、ドジャースは10人以上の投手が故障者リスト入りする異常事態に見舞われたが、2025年も同様の悪夢が繰り返される可能性が高まっている。
投手起用戦略への影響
グラスノーの離脱は、投手起用の柔軟性を大きく損なう。デーブ・ロバーツ監督は2024年ポストシーズンで、故障続きの投手陣を巧みにローテーションし、ブルペンの活用で乗り切ったが、同じ戦略を2025年も取れる保証はない。特にレギュラーシーズンの長期戦では、先発投手の安定したイニング消化が不可欠だ。
グラスノーは健康時には1試合で6-7回を投げ切れる能力を持っており、その分ブルペンへの負担を軽減できていた。彼の不在は中継ぎ投手への負荷増加につながり、シーズン後半の疲労蓄積を招くリスクがある。
ドジャースの対応策と今後の見通し
トレード市場での補強可能性
グラスノーが長期離脱する場合、ドジャースはトレード市場で先発投手を補強する必要に迫られる可能性が高い。2023年オフにグラスノーを獲得した際、ドジャースは有望株のライアン・ペピオなどを放出している。現在のファームシステムには、即戦力レベルの投手が少ないため、獲得にはさらなる若手のトレードが必要になるだろう。
ただし、シーズン中の大型トレードは常にリスクを伴う。獲得した投手がチームに馴染めるか、また新たな故障を抱えていないかなどの懸念がある。ドジャースのフロントは慎重な判断を迫られることになる。
若手投手の起用と成長期待
もう一つの選択肢は、ボビー・ミラーやランドン・ナックといった若手投手にチャンスを与えることだ。特にミラーは高い潜在能力を秘めており、2023年には期待の新人として注目された。しかし2024年は不振でマイナー落ちしていた経緯があり、即戦力として頼れるかは不透明だ。
ドジャースの投手開発システムはMLBでもトップクラスと評されるが、シーズン途中での若手投手の急成長には限界がある。短期間で結果を求められるポストシーズンを見据えると、不安要素が残る選択と言える。
グラスノーの復帰見込みと今後の管理
現時点でグラスノーの負傷の程度は明らかになっていないが、肩の故障は投手にとって特に深刻だ。過去の肘の問題と合わせ、ドジャースはグラスノーの投球数と登板間隔をより慎重に管理する必要があるだろう。
2024年オフ、グラスノーは「今年はオフシーズン中も投球を続け、組織を投球量に慣らす」と語っていた。このアプローチが功を奏さなかった可能性もあり、チームは再びグラスノーのコンディション管理について根本的な見直しを迫られている。
結論:ドジャースの優勝争いへの影響評価
グラスノーの最新負傷は、ドジャースの2025年シーズンに大きな影を落としている。たとえ短期の離脱であっても、チームは先発投手の深さという点で脆弱性を露呈した。ドジャースのフロントオフィスがどれだけ迅速かつ効果的に対応できるかが、今後の優勝争いの鍵を握るだろう。
一方で、ドジャースは2024年、投手陣の故障続きという逆境にもかかわらずワールドシリーズを制した実績がある。打撃陣には大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンというMVP級の選手が揃い、投手陣が最低限の役割を果たせば、再び優勝争いの中心に立つことは可能だ。
しかし、グラスノーが今季中に完全復帰できなければ、ドジャースの「ダイナスティ構想」にほころびが生じることは避けられない。31歳のグラスノーにはまだ5年契約の大部分が残っており、この投資が実を結ぶかどうかは、チームの今後数年にわたる戦略に大きく影響するだろう。ドジャースの医療スタッフとコーチ陣には、グラスノーの身体的な問題を根本から解決するという、難しい課題が突きつけられている。
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